1月18日(金)晴れ
定刻の19時半になっても、誰一人現れなかった。
私は、もう新年会があってもなくてもいいので、帰ろうと思い始めていた。
すると、ドアが開き、いしざわさんが入ってきた。
「遅かったじゃん」
「え?ああ、いや、まだ私しか来ていないみたいなんですよね」
「あ、そうなの?じゃあ今日は2人か」
いしざわさんは、件の店員に声をかけると、
「すいません。38人キャンセルで、今日は2人で」
と、信じられない人数変更を申し出た。
「え?本当ですか?私たち2人で飲むんですか?」
「飲むっていうか、ハンバーグを食べるんだよ」
「はあ」
店員が、会話に入ってきた。
「お客様、申し訳ございません。当日のキャンセルはできかねますので、40人分お出ししますね」
「あ、そうなの。わかりました!」
いしざわさんは、なぜか張り切って返事をした。
「ワリカンかあ」
「え、20人分ですか?ひとりいくらなんですか」
「5,000円」
「20人分って10万円じゃないですか!無理です」
「無理かあ。じゃあ、なんとかあと38人来るようにしなきゃなあ」
「はあ。LINEとかしてくださいよ。そもそも、なんで皆さん来ないんですか」
「言っていないからだな」
私は、目の前が真っ白になって、本当に気を失いそうだった。
▼ソレオ文学、発売中!
▼いしざわの活動