【創作】大島康夫の日記21「帰ります」

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1月18日(金)晴れ

「そろそろ、コーススタートしてよろしいでしょうか」

「はい、お願いしま〜す!」

やけになっているのか、いしざわさんは明るく大きな声で返事をしている。

私は、運ばれてくる料理を食べてしまったら10万円を支払わされるかもしれないので、この局面をどう乗り切るかだけを考えていた。

「いしざわさん、やっぱりおかしいですよ」

「何がおかしいというんだね」

「40名で予約したのに、私以外には今日が新年会だということを伝えていないということですよね」

「いや、そんなことはない。みんな知っているはずだ」

「じゃあ、なぜ来ないんですか!」

「だから、ウマ惣でやることは知らないんだろ」

「日時だけ全員知っていて参加表明もしているのに、店を知らないままってことですか。なんで皆さんそれで平気なんですか」

「平気だっていう連絡は来てないなあ」

「いやいや。だから、38名の人にウマ惣に来てくれって言ってくださいよ。このままじゃ、私たちは40人分のお金を支払うことになるんですよ」

「いいよ」

「よくないです。あ、じゃあいしざわさん40人分払ってください、私はもう帰ります」

「え、帰っちゃうの?じゃあ10万円置いてってよ」

「そんなお金はないし、あっても払いません。だって私、呼ばれてきただけですよ」

「呼ばれないと来れないんじゃないかなあ」

「そういう話はしていない。もういいです、帰りますから」

私は毎日来ているカーキのMA-1を羽織り、色あせたVISVIMの黒リュックを背負った。

入り口に向かうと、突然どしどしと人が入ってきた。

人数は10名、20名と増え、私は入ってくる人の波に押し戻されて、出ることができなかった。

「お、みんな揃ったな。じゃあ始めるか。あ、あとは久美だけか」

私はあっけにとられて立ち尽くしていたが、その声を聞いて、仕方なく再びリュックを下ろし、上着を脱いで元の席についた。

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