発見の手帳
梅棹忠夫さんの名著『知的生産の技術』。
そのなかに、手帳についての記述が出てきます。
中でも、僕がおもしろいと思ったのは、「発見の手帳」。
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ダ=ヴィンチの手帳
発見の手帳の元ネタは、メレジュコーフスキイの『神々の復活』という、レオナルド・ダ=ヴィンチを主人公にした小説に出てくるそうです。
梅棹忠夫さんは、こう書いています。
『神々の復活』にでてくるダ=ヴィンチは、もちろん、よくしられているとおりの万能の天才である。しかし、この天才には奇妙なくせがあった。ポケットに手帳をもっていて、なんでもかでも、やたらにそれにかきこむのである。町をあるいていて、であったひとの顔の特徴をかきこむ。お弟子が買いものにいってかえってくると、いちいち品物の値段をきいて、かきこむ。まったく、なんの役にもたちそうもないことまで、克明にかきこむのである。
ダ=ヴィンチ、そうなんですねえ。
知らなかったです。
ネタ帳ですね。
それも、直接ではなく、発想の分母をひろげるようなネタのため方です。
ところで、引用した部分を読んで、僕はこう思いました。
「最近のライフログにも似ている」
と。
出来事の記録であり、発想の蓄積でもあるわけです。
興味深いですねえ。
発見の手帳
『神々の復活』を読んだ梅棹さんと友人たちは、手帳を書き始めます。
・わたしたちが「手帳」にかいたのは、「発見」である。毎日の経験のなかで、なにかの意味で、これはおもしろいとおもった現象を記述するのである。あるいは、自分の着想を記録するのである。それも、心おぼえのために、みじかい単語やフレーズをかいておくというのではなく、ちゃんとした文章でかくのである。ある意味では、それはそのままでちいさな論文ーないしは論文の草稿ーとなりうるような性質のものであった。
・わたしは、この手帳に、自分で、「発見の手帳」という名をつけていた。
いやあ、おもしろいですね。
人間は日々、たくさんの考え事をして、経験をして、「あ、わかった」という発見をしています。
でも、それを蓄積していません。
だから、せっかくの学びがどこかに行ってしまいます。
それはもったいない。
この「発見の手帳」の発想を使えば、僕たちの知のレベルが格段に上がりますよね。
ワクワクしますねえ。
ぜひ、試してみましょう。
現代なら、手帳・ノートだけでなく、Evernoteでもいいですね!
▼今回紹介した発見の手帳について書かれた本はこちら
▼いしざわのnote