ドカベンスーパースターズ編は、立花光と大友剣で真の漫画になった
ドカベンスーパースターズ編の感想を書いておこう。
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プロ野球編と変わらないスーパースターズ編
ドカベンプロ野球編は、ドラフトで始まり、パリーグに新チームを2つ増やす決定が下されるところで終わる。
その2つとは、東京スーパースターズと、四国アイアンドッグスだ。
前者には山田、岩鬼ら明訓五人衆が所属し、監督は土井垣将だ。
後者の監督は犬飼小次郎。
選手には、犬飼兄弟や影丸、中、犬神など、高校時代のライバルが多く入った。(わびすけ、国定、緒方、足利、星王、隼はスーパースターズに。)
プロ野球編の試行錯誤を経て、ようやく「漫画」になってきた。
架空のチームがあることで、すべての順位を現実のプロ野球に合わせることはできなくなったからだ。
この2チームを軸に話が進むのだろうと思われた。
が、そうはいかない。
ここがプロ野球編以降のドカベンの不思議なところだ。
アイアンドッグスは唯一無二のライバルというポジションを獲得しなかった。
終わってみれば、単なる1相手チームだったのだ。
立花光と大友剣で、スーパースターズ編は「漫画」になった
こうして、スーパースターズという架空の球団が優勝するシーズンもあるということを除けば『プロ野球編』とあまり変わらない感じで終盤まで進み、「まあこんなものか」と諦めかけた頃、『スーパースターズ編』は一瞬の盛り上がりを見せる。
立花光は女性選手。
山田太郎のいるスーパースターズに入団した。
スーパースターズ編
には、マドンナという選手が存在するが、最重要の役割が「殿馬の恋人」であって、選手としての影響は小さい(実力はあるが、存在として小さい)。
野球選手なのである。
大友は、立花光の恋人だ。
とにかく暴走する。
山田太郎への敵対心をむき出しにして、襲いかかってくるのだ。
わたしは、まるで、ドカベンの甲子園を見ているようだと思った。
プロ野球編以降は、「この試合は絶対に勝つ」という選手の思いが、読者に伝わりにくい。
負けても次があるからだ。
大友には、それがない。
とにかく、今この瞬間勝たなければ意味がないと思っている。
だから、感情移入する。
わたしがスーパースターズ編で一番印象に残ったシーンは、大友剣が、見開きで「入ってたまるかーー」と叫ぶところだ。(36巻)
真剣勝負。
そう。野球漫画の醍醐味は、やはりこれなのだ。
▼いしざわのnote